相続と贈与の違い

自分の財産を配偶者や子、孫などに受け継がせる方法には相続生前贈与があります。
自分が亡くなってから財産を受け継がせる場合は相続、自分が亡くなる前に財産を受け継がせる場合は生前贈与となります。

 

相続
  • 被相続人の死亡によって、相続人が金銭や権利などの財産を受け継ぐこと
  • 遺言書(遺贈)によって、相続人以外の人に財産を渡すことができる
  • 相続税が発生

 

贈与
  • 贈与者が死亡する前に受贈者に財産を与えること
  • 暦年贈与であれば、受贈者は誰であってもよい
  • 贈与税が発生

 

生前贈与の課税方法と非課税枠

生前贈与には、暦年贈与または相続時精算課税贈与のいずれかの方法があります。
相続時精算課税贈与は、要件を満たす人のみが利用できます。
相続時精算課税贈与を選択しない限り、通常の贈与は暦年贈与となります。

 

  暦年贈与 相続時精算課税贈与
贈与者・受贈者 親族間のほか、第三者からの贈与を含む 60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫への贈与。
選択 不要 贈与者ごと、受贈者ごとに選択が必要。一度選択すると、暦年贈与に戻せない。
控除 基礎控除:毎年110万円 特別控除:2,500万円(限度額に達するまで何度でも控除できる)
贈与税率 10〜55%の8段階(累進課税) 一律20%
メリット 贈与額が110万円以下であれば贈与税の申告が不要。相続財産を減らすことができる。 一度に多額の贈与をおこなえる。
デメリット 一度に多額の贈与ができない。連年贈与とみなされるケースがある。 相続財産を減らすことができない。贈与税の申告が必要。

 

また、贈与税にはさまざまな非課税枠が設けられています。

 

  • 住宅取得等資金の贈与税の非課税枠
  • 教育資金の一括贈与の非課税枠
  • 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税枠
  • 贈与税の配偶者控除

 

夫婦間の贈与と贈与税

夫婦や親子などの場合、扶養義務者から都度もらう生活費や教育費には贈与税がかかりません。
しかし、それらのお金を使わず、もらった人の名義で預金をしたり、不動産などの購入資金にあてたりした場合には、贈与とみなされ贈与税がかかります。

 

贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、自宅の土地・建物または自宅の取得資金を贈与した場合、2,000万円まで贈与税が非課税になります。
暦年贈与との併用ができるため、2,110万円まで非課税で贈与が可能です。
贈与税の配偶者控除を受けるためには、贈与税がかからない場合であっても申告が必要です。

 

贈与によって不動産を取得すると、相続による取得よりも税金がかかります。
贈与税の配偶者控除を利用するかどうかは、税理士などの専門家に相談して判断することをおすすめします。

 

孫への贈与

孫は法定相続人ではないため、遺贈や代襲相続、養子縁組などをおこなわないかぎり、相続によって祖父母の財産を受け継ぐことができません。
孫に財産を相続させる場合には、生前から対策が必要です。

 

いっぽう、亡くなってからではなく、生きているうちに孫に財産を渡したい場合には、暦年贈与によって1年間に110万円まで非課税で贈与をおこなうことができます。
通常、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されますが、相続人ではない孫への贈与については、相続財産への加算がありません。
孫への生前贈与は、将来の相続税対策にもなるのです。

 

また、贈与税の非課税枠を利用することで、孫に対して一度に多額の贈与をおこなうことができます。

 

住宅取得等資金の贈与税の非課税枠

20歳以上の子・孫が、父母・祖父母などの直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けると、一定金額まで贈与税が非課税になります(相続時精算課税制度との併用も可能です)。
受贈者には所得制限が設けられており、贈与を受けた年の合計所得金額が 2,000 万円以下であることが条件です。

 

1.下記2以外の場合
住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成 28年1月1日から平成32年3月 31 日まで 1,200万円 700万円
平成 32年4月1日から平成33年3月 31 日まで 1,000万円 500万円
平成 33年4月1日から平成33年12月 31 日まで 800万円 300万円

 

2.住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合
住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成 31年1月1日から平成32年3月 31 日まで 3,000 万円 2,500万円
平成 32年4月1日から平成33年3月 31 日まで 1,500 万円 1,000万円
平成 33年4月1日から平成33年12月 31 日まで 1,200万円 700万円

 

たとえば、平成29年に住宅取得資金(省エネ住宅)として1,200万円、相続時精算課税制度で2,500万円、合計3,700万円の贈与を受けた場合、贈与税はかかりません(相続時精算課税での贈与分2,500万円は、相続税の対象となります)。

 

教育資金の一括贈与の非課税枠

平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に、30歳未満の子・孫などが、父母・祖父母などの直系尊属から教育資金を一括贈与された場合、受贈者一人につき1,500万円(学校等以外に支払う場合は500万円)まで贈与税が非課税になります。
受贈者が30歳までに教育費として使いきれなかった場合には、贈与税がかかります。

 

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税枠

平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の子・孫などが、父母・祖父母などの直系尊属から結婚・子育て資金を一括贈与された場合、受贈者一人につき1,000万円(結婚資金は300万円)まで贈与税が非課税になります。

 

受贈者が50歳までに結婚・子育て資金として使いきれなかった場合には、贈与税がかかります。
また、贈与者が死亡した場合には、残額は相続税の課税対象となります。

 

近年、祖父母世代の資産を孫世代に移転しやすくする制度が新設されています。
しかし、必要以上の贈与をしてしまうと、使い切れずに残った資金に贈与税がかかったり、自分の老後資金が足りなくなったりするおそれがあります。
税理士などの専門家に相談して、どのような方法でどれだけの贈与をおこなうべきかを検討するとよいでしょう。

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